2013年8月12日月曜日

スカイラインクロスオーバー 「お手軽で希少な高級モデル」

  ここ数年、軽自動車の割合が大きく増えていて、普通車の新型の発売がとても少ない。トヨタ以外の全てのメーカーは海外市場を睨んだもので、日本の実情に合っていなかったりする点が目立ち、なかなか気に入った一台を見つけるのが難しくなってきている。これは良いかもと思うモデルは瞬く間に大ヒットして街中では珍しくない存在になってしまうので、300万円以上も使って買うとなるとあれこれ躊躇してしまう。

  トヨタブランドの上級グレード車はクラウンもマークXもどこの街でも見られるありふれた存在である。ドライブを趣味にしている人にとっては、いいクルマなのは分かっているが、流通台数を考えるととても買う気になれないクルマだ。そんなトヨタにひっそりとラインナップされているのがマークXジオだ。

  このクルマはマークXのワゴンという位置づけなのだが、いろいろと突っ込みどころがある。マークXはV6エンジンのFR車をどこよりも安く提供することを念頭に置いたクルマだが、このマークXジオはFFで主力エンジンは直4の2.4Lエンジンを使っている。トヨタがイギリスから逆輸入しているアベンシスの上級モデルといっていい内容だ。なぜマークXというネーミングなのかさっぱり分からない。

  このマークXジオのライバル車と見做されているのが、スカイラインクロスオーバーだ。ライバルと言っても本体価格が200万円台のマークXジオと400万円を超えるスカイラインクロスオーバーはいくらなんでも車格が違う。マークXジオの現実的なライバルはホンダのオディッセイだろう。スカイラインクロスオーバーはスカイラインを名乗るだけあって、プラットホームが共通のFRで3.7LのV6エンジンを使った高級車だ。もちろん日本では需要がほとんどなく、アメリカ市場での展開を念頭に開発されている。

  現行スカイライン(V36系)はセダンはライバル車にくらべやや小振りで、クラス最高級(アメリカではメルセデスCやBMW3よりも高価な設定)にしてはちょっと見栄えがしない。クーペはトレッドを拡げてよりスポーティに仕上がっているが、その趣味性の高さが鼻に付くという意見もあるかもしれない。そこでよりナチュラルなスカイラインとして、このクロスオーバーが設定されているようだ。日産のPRのマズさからほとんどの人に認知されていないクルマだが、ほぼBMW X5と同等以上の性能とデザインで400万円台前半(X3より安いくらい)なのだからもっと売れてもいいように感じる。

  BMWのX3やX5やアウディQ5やQ7を買うくらいならスカイラインクロスオーバーの方が断然にかっこいいくらいだから、このクルマをほぼ日本で見かけないのは残念なことだ。結局のところ、SUVとしての本質を求める人はフォレスターやCX-5に流れてしまい、3.7LのV6搭載ならセダンやクーペもしくはフェアレディZの方が高速走行に適しているし、ファッション性とブランド力を求めるSUV乗りはBMWやアウディに行ってしまうのだろう。

  もう一度念押ししておくと、スカイラインクロスオーバーはあらゆるシーンで活躍できるバランスの取れたデザインであり、その洗練度と走行性能はBMW X5やアウディQ7をも軽々と上回る。SUVに高級さを求めるのがナンセンスだと考える人には用のないクルマだが、高級ホテルに乗り付けられるし、となりにX5やQ7が来ようともこちらの方が性能は上なのだから堂々としていられる素晴らしいクルマだ。フォレスターやCX-5では高級ホテルにはなかなか乗り付けられないと分かる常識人にはぜひオススメしたい一台だ。



  

  

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