2014年3月3日月曜日

カローラアクシオ 「ちょっとマイナーになって乗り頃」

  日本車は流行に敏感だ。いや敏感すぎるのかな? クルマのコンセプトを決めたらそれを育てる努力をせずに、アイディアの使い捨てをしていると言われても仕方がないほどに移ろい続けている。逆にマツダやスバルのようないわゆる「かぶれ」ブランドは、クルマ作りの哲学を純化させ過ぎて、身動きが取れなくなり自慢の製品が失敗すればすぐに廃業の危機を迎える。同じように自動車ファンを熱狂させてきた世界の名門ブランドは次々とフェードアウトしていったし、フェラーリもポルシェも「寄らば大樹の影」といった現状。その一方で世界の10大自動車グループの内、4つが日系メーカーなのだからさ・・・。

  カローラアクシオは脈々と続くトヨタの名シリーズ「カローラ」を受け継ぐ、日本専売の小型セダン。現行モデルは2012年にFMCのもので、当時はカローラ史上最悪の失敗作とまで言われるほどメディアの風当たりは強く、全国数十万のカローラ愛好家のボルテージはだだ下がり・・・。初動から全くさえない状況が続いたが、翌年に待望のHVが追加され突如として息を吹き返した。アクア・プリウスというトヨタの2枚看板のに割って入りそうな勢いなのは、ワゴンのカローラフィールダーHVが好評だからで、アクシオ自体はそれほど台数は出ていない模様。

  5ナンバーなのにレガシィに似て上のクラスのクルマに見えるフィールダーに対して、アクシオは・・・分かる人には分かるデザイン。アリかナシかで言えば「ナシではない」つまり「アリ」なんじゃないかと思う。とりあえず各部に隙が見られるから、評論家にしゃべらせれば、ダメ出しの材料には事欠かないのだけど、車両価格やこのクルマの主な用途を考えた時に賢明な人ならば、その指摘がそれほど有効ではないことに気がつく。

  FMCから1年あまりが経ち、改めてこの現行アクシオを見てみると、思いのほかカワイイ。世間ではヴェゼルやルーテシアなどオシャレなコンパクトモデルがヒットしてけれども、そんな流行のど真ん中にいるクルマを買おうって思わない人もたくさんいると思う。ヴェゼルやルーテシアは確かに良く出来たデザインだけれども、このアクシオだって負けていない。アラの見えるトヨタデザインがどこかクラシカルなスパイスになっていていい味を出している。もはや絶滅した5ナンバーセダンの特徴を少しずつ受け継いだような控えめで上品な出で立ち。

  トヨタがこのクルマへのHVを1年遅らせた理由は、従来のカローラユーザーにも使いやすいHVを目指してアクアのシステムを改良するのにやや時間がかかったというものらしい。当初はカローラ店でのみ販売するモデルにHV化は認められないという理由が広まっていたが、それは2012年よりも前の段階での先代カローラへのHV導入要請での話だったようだ。とにかく、アクアやプリウスと比べて加速が滑らかで、マツダアクセラHVのような後発HVとしての進化を遂げている。

  カローラ、プレミオ、マークX、クラウン。一部は中国でノックダウンがされているが、現行モデルではトヨタの国内専売4兄弟。ここまで他車がグローバルに振ってきて、内装をみるだけでは、マツダだかスバルだか分からないし、何となく日本的価値観が奪われていると感じる最近のクルマの中で、この4車の存在感は独特だ。マツダやスバルに乗っている人には運転がつまらなく感じるだろうけれども、乗り心地ならば確実にトヨタが上だ。マツダやスバルはグローバルにクルマを作り好調だが、彼らが必ずしも正義というわけではない。刺激あるドライビングフィールという意味でBMWやポルシェに近いポジションを取っているに過ぎない。

  新型Cクラスは軽量化と乗り心地を両方を追求したが、その方向性の先にいるクルマはなんと現行マークXだ。マセラティ・ギブリは世界中でマセラティシェアを3〜4倍へと拡大しつつあるが、このクルマが目指したのはどうやらクラウンというのが専らの評判だ。これこそがトヨタの隠された本当の実力。プレミオやカローラにも「トヨタ国内専売」というブランドが息づいているはず。実家にやってきたプレミオ1.5Lはとても苦い印象だったけれども、もっと長時間のインプレッションで印象が変わるのかな。次のモデルに期待したい。


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↓カローラやプレミオで一番困るのがオーディオ。マーズヴォルタを爆音でかけるしか救いようがない。

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