2013年6月10日月曜日

トヨタ・プリウス 「イケメンならクルマは何だって構わない」

  日本で一番たくさん走っているクルマであろうトヨタのプリウスを、「プライベートカー」として「敢えて」買おうとする人(統計上は相当な数だ)には、それなりの「計算」があるのではないかと思う。それが月に100kmも乗らないユーザーだったならば、相当の「深謀遠慮」があるのでは・・・。

  デジタルコンテンツ開発会社を経営するAさん(30)は、大学卒業後3年間は大手の保守管理会社でSEを勤め、4年前に独立した。現在のSEは「空前のバブル」で大量採用・大量退職当たり前だ。能力の有無などはまったく問われず、大抵は3年目で事実上の「定年」を迎え、給料の安いフレッシュマンに職場を譲る羽目になる。そんなことは入社時から十分にわかっていたので、Aさんは3年後の独立に向けて着々と準備を整えていた。

  それでも、いざ「起業」となると自分の力で仕事を獲ってくるツラさは尋常ではなく、まったくもって順風満帆とはいかなかった。試行錯誤を繰り返し、アプリ制作に軸足を移して当面の売上を確保した。去年辺りから受注は捌ききれないほどに舞い込むようになり、かつての同僚たちを助っ人として雇い入れて乗り切ってきた。下請け中心なので、収益は割に合わない水準でしかなかったが、徐々にチームとして大きな仕事ができる組織が成り立っているのを実感しつつあった。

  その後、急成長を遂げていたゲーム産業で自主コンテンツの開発を本格化させると、まもなく事業は完全に軌道に乗った。SEの時代とは比べものにならないほどの高収入に浮かれて「高級輸入車」の購入も頭を過ったが、SE時代に大量に読んでいたビジネス書の一節が心に刺さっていて思いとどまった。いま自分がメルセデスに乗り始めたら、一緒に頑張ってくれた仲間達はどう思うだろうか? いま仲間達に疑念を抱かせるようなことをして、みんな離れていってしまったら、自分はただの愚か者だ・・・。

  今、Aさんはオフィス拠点の移転を考えている。最有力候補地は過疎化が進む徳島県だ。急峻な四国山地に阻まれて地デジ受信環境がよくない場所が点在し、この地では光ファイバー網の整備が地方にしては進んでいる。今ではIT企業にとっての好立地として注目を浴びていて、転入する企業も多い。大都市・神戸まで高速道路で1時間程度の場所なので、それほどの僻地というわけでもない。もっともITビジネスなので、社員全員がその地へ移転する必要はないのだが(そもそもオフィスもいらない・・・)。

  週末は神戸までドライブすることもあるだろうからクルマも必要だ。高速道路を使うので軽自動車ではちょっと都合が悪い。Aさんはトヨタのプリウスを買う事にした。徳島では軽自動車ばかりなので、プリウスに乗ることへの抵抗は意外に少ない。そもそも高級車など乗っていたら完全に浮いてしまう。「燃費」などは完全に後付けの理由でしかない。大都市圏の密集住宅地では繁殖しすぎて「殺風景」以外の何者でもないプリウスだが、徳島の田園風景には「近未来」デザインが良く映えるだろう・・・。「乗る場所を自分で判断できない『センスのない人』は絶対に成功しない」Aさんはそう確信している。



(この話はすべてフィクションです。実在の個人・団体とは一切関係がありません。)


↓やはり「イケメン」にはプリウスが似合う・・・。
  

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