2013年6月26日水曜日

トヨタSAI 「消えるトヨタに名車あり・・・」

  自他ともにクルマ好きを自認するBさんの自慢の愛車は・・・「トヨタ SAI」だ。発売当初はこのクルマに対して懐疑的(むしろ批判的)だったが、北米市場でレクサスが「HS」の販売を取りやめた辺りから、徐々に考えが変わってきた。北米ではプリウスは日本より高く販売されているが、レクサスは北米の方が相当に安い(日本のレクサス価格はアメリカ人にとっては理解不能)。そのレクサスのラインナップからさりげなくHSが消えたのだ。

  トヨタはHSの北米撤退について販売不振を理由に挙げているが、それならば日本市場のみ販売を続行する意図が不明だ。北米のレクサスにはESというFWDのセダンがあり、ESにもハイブリッドが設定されている($40000以下で格安だ)というのもあるだろうが、なんか「キナ臭い」感じがしないでもない。もしかしたら「HS」は北米価格では採算が取れないほどの高コストなクルマなのではないかとBさんは睨んでいる。日本価格ならおそらく利益はでるだろうが、ESの下のカテゴリーになる北米ではかなりタイトな価格設定を余儀なくされる。

  さらにBさんの頭をよぎったのが、北米のレクサスESに使われているHVシステムだ。これはトヨタブランドのカムリと同じ設計のもので、日本市場でもクラウンやレクサスISにも投入されてトヨタがまさに「拡販」を目指しているシステムだ。トヨタが「店じまい」しつつあるHSのシステムとトヨタが「拡販」を目指すカムリのシステムは一般には後者の方が優位なシステムと言われているが、果たして本当だろうか? 加速性能と燃費性能に優れているからと言って「優位」と結論付けてしまっていいのだろうか?

  実は「SAI」を選んだBさんにも「確信」は一切ない・・・。長年の勘だ。2000年以降のトヨタの「店じまい」は常に高コスト体質の「改善」にリンクしているように思う。2000年当時発売していたトヨタ車が今同じ価格でリバイバルされれば、大ヒットするであろうクルマはたくさんあるのだ。「AE111カローラレビン(4A-GE)」や「E120H型カローラランクスZエアロ」など絶対に当時の価格では販売できないだろう。今のトヨタのラインナップを見渡してみて、2000年頃の高品質時代の名残と言える「お宝モデル」は、この「SAI」と「GRX130型マークX(G's)」くらいじゃないだろうか? この2台ともに発売当初は取るに足らないと思っていたが、今や「一周回って」カッコ良く思えてきたくらいだ・・・。




  いよいよカローラにもハイブリッドモデルが登場し、トヨタブランド内でもハイブリッドモデルによる競争が激化してくることが予想される。しかし作る側のトヨタからしてみたら、中身が同じクルマをできるだけ多く作りたいというコスト面でのインセンティブが働くので、プリウスやアクアに使われているシステムを他の車種にまで広げていくのだろう。当然ながら数パターンが存在するトヨタのハイブリッドシステムも次第に淘汰されていって、高コストな体質のシステムは次々に消えていく運命にある。

  トヨタSAIとレクサスHSは、トヨタが初期に作り上げた2.4L直4エンジン+ハイブリッドのシステムを使っている。このシステムはその後の車種には投入されなかったので、今後は生産が打ち切られ両車ともにラインナップ落ちする公算が大きい。まあトヨタが生産をやめてしまうくらいだから、大したシステムではなかったのだろうと大半の人は思うかもしれない。しかしバブル期以降、生産が打ち切られた日本車の多くがその後その存在を惜しまれて、後になって評価が急上昇することが結構あったりする。トヨタ車の場合だと、レクサスの日本導入時に消滅した、アルティツァやアリストターボがその後の中古車市場で高値で取引された。この10年に限定すれば「消えるトヨタ」はかなりの確率で「買い」なのだ・・・。


↓最近は3代目プリウスも「酷い」とまでは思わなくなってきた。それ以上にこのSAIのデザインは・・・なんというか「含蓄」がある。

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